コラム

先天的に永久歯がないとき乳歯はどうなる?

コラム

2013.1.20

永久歯は正常に生え揃うと上下14本ずつ、合わせて28本になります(親知らずを除く)。
しかし稀に永久歯が形成されず、先天的に欠如する場合があります。永久歯の先天的欠如は親知らず(第三大臼歯)を除けば、下顎切歯、上顎側切歯、上下顎第二小臼歯によくみられます。
永久歯が先天的に欠如している場合、抜け落ちるはずの乳歯はどうなるのでしょうか?

歯槽骨内で永久歯が形成され、萌出する方向へ移動してくると、乳歯は歯根が吸収されて動揺が大きくなり、やがて脱落します(図1)。
しかし、永久歯が先天的に欠如している場合、乳歯は歯根が吸収されないので抜け落ちることがなく、通常は成人になっても永久歯の代行歯として機能します図2)。
ただし代行歯としての乳歯は成人になっても常に安定しているとは限りません。乳歯は永久歯と比較して歯根が短く図3)動揺しやすいため、固いものがしっかりと咬めない場合や、幼児期に治療した虫歯や根尖病変が再発して抜歯になる場合も少なくありません(図4)。

永久歯の先天的欠如で残存していた乳歯が上記のような理由で喪失した場合、その部位は欠損状態となりますが、欠損部を放置すると、隣在歯が欠損部の隙間を埋めるように傾斜して歯列不正を招きます
歯列不正を防いで安定した咬み合わせにするには、インプラントブリッジで欠損部を治療する(欠損補綴)か、あるいは矯正によって欠損部の隙間を閉塞させる治療が必要です。


図1 永久歯萌出過程での乳歯歯根の吸収
永久歯が萌出方向へ移動すると、乳歯は歯根が吸収され動揺が大きくなり脱落する


図2 39歳男性、下顎第二小臼歯部の永久歯先天的欠如(矢印は乳臼歯)
乳歯は脱落することなく、永久歯の代行歯として機能している


図3 乳歯と永久歯における歯根の長さの比較
乳歯は永久歯に比べて歯根が短く、動揺しやすい


図4 根尖病変の再発による乳歯抜歯症例
永久歯代行の乳歯はいつも長期に機能するとは限らず、抜歯になることも多い

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